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金と人手、時間をかけた調査報道
週刊金曜日659号(2007.6.22)貧困なる精神328より引用。
金と人手、時間をかけた調査報道-原寿雄さんと語る「ジャーナリズムとマスメディア情況」6
・(本多)たとえば『朝日』の場合、この問題はちょっとあとでとりあげようと思っていたんだけれど、記者が現場に行かないことが明々白々ですね、記事を見ていると。(略)
(原)さっき言った「群れ的に生まれてきた若いグループの中に、『朝日』の記者もいるんです。彼(諸永裕司記者)は下山事件を追いかけて本(『葬られた夏ー追跡下山事件』朝日文庫)にしている。故・斎藤茂男さん(元共同通信記者)に教わったとその中で書いているけれど、彼の西山取材なんかも本紙に載らないんだな。「Be」という版があるでしょう、日曜版と土曜版。まあ硬い問題の読者を広げる意味はあると思うが−。

・(本多)いるんだけれど、何て言うかな、本紙の生の記事にあまり出てこないでしょう。「出てこない」のか「出されないのか」・・・。
(原)「現場へ行かない」というのは、やっぱり本多さんらしい指摘だなと思った。僕はそういう気のつき方をしなかったけれど、全体として解説が多くなってきて、現場のにおいが減ってきていることは感じるね。ネット時代対策もあるだろうが−。
(本多)減ったというより「無い」に近い。解説だってそんなに多くはないでしょう。
(原)やっぱり取材に十分に時間をかけて、人手も金もかけてやるという従来の調査報道とは違うのかね。背景解説も必要だが、もっと調査報道による権力悪摘発が欲しい。
(本多)そう、典型としては調査報道。でも対象によっては金をかけずに一人でやることもできますが。俺の例でいえば『中国の旅』とか『戦場の村』とか・・。
(原)発表モノと違って、自ら責任を取らされる調査報道にはやはり積極的に取り組みにくいということかね。
(本多)本当は逆だと思うんですよ。テレビやラジオにはどうせスピードで負けるに決まっているんですから、雑報ばかりの紙面じゃなしに、突っ込んだ記事とりわけルポとか解説記事とか、それが本当はいまこそ必要でしょう。それが前より減っちゃった。「ふざけるな、逆じゃないか」って怒りたくなる。
(原)それはやっぱりマスコミ全体としていうと、人手をあまりかけたくない。企業合理化のためだと思うな。それに発表ジャーナリズムのように責任をニュース源に転嫁できない。(略)
(原)記者の能力が落ちてきたということもよく言われるけれど、記者の本格的訓練をしないでおいて、記者の訓練が落ちたなんていうのは一方的な言い方じゃないかね。
(本多)そうそう。訓練というより「場」を与えれば、本番がそのまま訓練になって必ず伸びるんですよ。(略)
(原)そうすると記者の問題じゃないんだ。あとはお金をかけ、人手をかけ、時間をかけても、調査報道をたっぷりやらせるか、ということでしょう。
(本多)しかし記者個人の場合、ルポならいつでもできるはずですよ。げんにフリーの個人はビンボウでもやっている例がある。だから要するに「やる気」があるかということではないでしょうか。管理職にせよ現場記者にせよ。

ーー(引用終り)
引用記事の著作権は『週刊金曜日』および本多勝一さんにあります。

テーマ:報道・マスコミ - ジャンル:政治・経済

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